ばりすたの株式備忘録

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株の世界で5年後も生き残っていたい…

PSS(7707)は材料・思惑相場継続に

本日8/14、プレシジョン・システム・サイエンス(PSS|7707)の決算が発表されました。 

平成 29 年6月期 決算短信〔日本基準〕(連結)

中期事業計画(平成30年6月期~平成32年6月期)策定に関するお知らせ

本決算は事前に赤字縮小の上方修正が出ていて想定内だったので、中期事業計画について見ていきたいと思います。

 

中期事業計画(損益計画)

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2016年に出されていた中期事業計画(下記参照)と比べると今後2年間はほとんど変わらず、3年後の平成32年(2020年)6月期に大きく伸びると見込んでいます。黒転予想も平成31年(2019年)度と変化なし。

 

その売上計画の内訳を見てみると(下図参照)、「直販」の比率を増やし、「試薬・消耗品類」の販売で売上を伸ばしていく方針だということが分かります。これは、これまでの臨床研究用途から、診断用途向け拡大のトレンドにしっかり乗っていく、ということですね。

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この方針の支えになるのは、2017年5月に資本業務提携を行った日立ハイテクノロジーズの存在。自動化装置と試薬・消耗品類を日立ハイテクの販売網で売上を積み上げていくことが大前提となります。

「この中計は日立ハイテクと膝を突き合わせて詰めている」とIRの方は言っていたので、見方を変えると、日立ハイテクのコミットメント度合いが強いとも見て取れます。まぁ、それだけこの市場が大きく成長すると見込んでいるんでしょうね。

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ただ、ここまでの情報だと大したサプライズもなく、日立ハイテクとしてもそれだけのコミットをして割に合うのか?と心配になるほど平凡な内容。しかし、今回の中計の最大のポイントはQ&Aに関する2枚のスライドにあると考えます。それぞれ、具体的に見ていきましょう。

 

材料・思惑①:リキッドバイオプシーによるがんの早期発見

「リキッドバイオプシー」とは、血液などの体液サンプルを使って診断や治療効果予測を行う技術のことで、これに関連したニュースが7月末頃から出てきており、PSSも参画しているNEDOが取り組む「体液中マイクロRNA測定技術基盤開発プロジェクト」が対象になっていることで、材料視されています。

techon.nikkeibp.co.jp

 

それを受けての回答が下記のスライド。

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具体的な回答は控えているものの、一部の執筆を担当した『miRNAの最新知識 ~基礎領域から診断・治療応用まで~』で情報発信をしていることに触れています。

書籍の内容については下記記事を見ていただければと思いますが、この書籍の内容から、近日発売予定の「geneLEAD VIII」 あるいは現在開発中の「geneLEAD RBA96(仮称)」が、このリキッドバイオプシーにおいて必要な装置だということが推測できます。

本プロジェクトでも使用されている「geneLEAD XII plus」では、人の手で4〜6時間かかっていたものが全自動化で2〜3時間に短縮され、精度や再現性においても、試験に慣れた技術者が行ったデータと同等以上の結果が得られているようです。

全自動遺伝子解析装置の観点から見たmiRNAの最新知識 - ばりすたの株式備忘録

他社で全自動遺伝子解析装置を作っているところはあるものの、全自動化が遅れている分野において、これだけ高精度かつ、再現性高く解析ができるのはPSSの強みである、と実感した次第です。

全自動遺伝子解析装置の観点から見たmiRNAの最新知識 - ばりすたの株式備忘録

barista-stock.hatenablog.com

このプロジェクトは2018年度で終了予定ですし、今月から臨床研究を行うことになっているので、もう少し待てば明らかになることでしょう。

 

材料・思惑②: 次世代シーケンサーの開発

次世代シーケンサーとは、ランダムに切断された数千万から数億のDNA断片の塩基配列を同時並行的に決定することができる装置のこと。標的DNAを増幅しているわけではないので広範囲の遺伝子を網羅的に解析できる一方、その精度はリアルタイムPCRなどに劣ります。この次世代シーケンサーが話題になったのは、6月末に新聞記事に取り上げられてからでしょうか。

yomidr.yomiuri.co.jp

PSSは、下記の回答にも記載されている通り、自社製品ラインナップには次世代シーケンサーを持たないものの、その前処理工程の核酸抽出技術に優位性を持つ企業です。

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遺伝子検査において、核酸抽出は重要かつ難易度の高い作業で、しかもまだ熟練技師の手に頼ることが多い領域。

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がん遺伝子の一括検査が保険適用になると、当然、核酸抽出の精度を高めながらも自動化して大量に処理していくことが求められ、次世代シーケンサーが製品ラインナップになくても売上に寄与してくるだろうと考えられ、材料視していました。

しかし一方で、PSS日立ハイテク次世代シーケンサーの開発・販売に乗り出すのでは?」という思いもありました。それを確信に近いものにしてくれたのが、下記2枚のスライドの波線部分。

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PSS側は、「geneLEADは次世代シーケンサーではない」と言っている一方で、「将来、次世代シーケンサー関連製品の開発及び販売をする可能性はある」ことにも触れています。 

資本業務提携提携時の「日立ハイテクが中型遺伝子検査システムを開発し販売する」という記載に関連するものはまだ表に出てきていませんし、これは現在開発中の「geneLEAD RBA96(仮称)」ではないということはIRに確認済みですので、新しい動きに関する発表が待たれるところ。ちなみに、次世代シーケンサーを新規で開発する場合でも、コアとなる技術(核酸抽出のMagtration®技術)は既存のものを活用できるので、開発期間はそれほどかからないということも確認済みです。

 

また、実は、日立ハイテク次世代シーケンサーによって決定された塩基配列データをWindowsMacで解析できるソフトウェア「SEQUENCHER(シーケンチャー)」の販売代理店でもあるんです。次世代シーケンサーと試薬・消耗品類も自前で揃えることができれば、がんの遺伝子検査における次世代シーケンシングをがっつりと抑えられることができるので、ここまでを狙ってるんじゃないかとさえ思えてきます。

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何はともあれ、診断用途市場において「直販」かつ「試薬・消耗品類」の売上に軸を移していくとなると、収益計画の数字は「リキッドバイオプシー」や「次世代シーケンサー」の流れに乗っていかなければ実現できない数字だと思います。

今回、それらがある程度明らかになる発表があると期待していたので、それがなかったこと自体は残念ですが、その可能性が読み取れる記載をしてくれていたことは評価に値するのかな、とも感じています。

というわけで、引き続き、geneLEAD、及び日立ハイテクが開発する中型遺伝子検査システムの進捗を待ちましょう!

「そーせいって、何待ちなん?」を整理してみた件

8月10日に、そーせい(4546)の第1四半期の決算発表がありました。

平成30年3月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕(連結)

2018年3月期 第1四半期報告書

まぁ、いろんな立場、見方があって、いろいろ言われていますが、ホルダーというか、ある程度状況を理解している立場の方は、概ね以下の僕のツイートに賛同いただけるのではないでしょうか。 

決算の数字を少し見てみます。

研究開発費、販管費は約20億円。2017年3月期決算時点で、大きな変動がなければ年間80億円だろうと見積もっていたので、だいたい想定通り。 

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COPD関連のロイヤリティ収益は、アメリカでの販売開始時期がずれ込み、立ち上がりもゆっくり?なのでもう一つ伸びなかったものの「その他 (←これ何?)」が1.2億円ほどプラスになり、だいたい想定の数字で着地したかなという印象。

「だいたい想定通り」と強がったけど、正直に言うと、思ってたより3〜5億円ほど多く、黒字だったのはポジティブな印象を受けたぐらいでした(笑)

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※上記の「想定」については下記を参照

barista-stock.hatenablog.com

 

株価はどうなるか分からないものの(笑)、決算は無事通過したという印象。ただ、問題なのは第2四半期の売上がまだまだ足りていない、つまり収益につながるIRが出ていない、ということ。

研究開発費と販管費が約20億円で、ロイヤリティ関連の収益が約8億円とすると、最低でも12億円以上の収益につながるIRが欲しいところ。あと1ヶ月半でそれが出てくるかどうか、が重要ですよね。各種パイプラインの現状について整理しておきます。

[目次]

 

Wave1

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M4受容体作動薬:HTL16878?

いろんな情報をまとめると、おそらく、先に進めていたHTL9936よりもHTL18318の方が優秀だと後から分かったので、後者を優先する方針に変わってスケジュールが遅れたのではないか、と。donepezilとの併用も視野に入れた臨床試験(NTR6195)も、それをより確実にするためのもので、それを受けて2017年後半のPh1b開始につながっていくのだろう、というのが実状のように思われます。

2017年3月期決算_そーせい(4565) - ばりすたの株式備忘録

上記のように、M1(HTL18318)の進捗が待たれるところでしたが、 ここに来てHTL16878という新しい治験の動きが出てきました。

A Two Part Study to Assess Safety, PK, PD, and Food Effect of Oral HTL0016878 - Full Text View - ClinicalTrials.gov

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AllerganをCollaboratorとする治験Ph1が、2017年8月7日にスタート。M1は2本(HTL9936, HTL18318)ともPh1b完了しているはずなので、これまで前臨床フェーズだったM4の可能性が高いですよね。どのタイミングでマイルストンが発生するかは契約内容次第ですが、これで発生するんでしょうか?ねぇ、どうなの?

ちなみに、Mシリーズに関するAllerganとの開発・販売契約の概要をIRから抜粋すると以下の通り。これが動き出したらすごいことになるってことぐらい、分かりますよね?笑

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アデノシンA2A:HTL1071(AZD4635)

がん免疫療法の新薬候補の第1相臨床試験開始に伴い、子会社Heptares社はAstraZeneca社から10百万米ドルのマイルストンを受領(2016年7月6日)

子会社Heptares社、AstraZeneca社から12百万米ドルのマイルストンを受領(2017年4月5日)

次に進捗に動きがありそうなのが、A2Aでしょうか。

ただ、パートナー企業のアストラゼネカに、以下のような動きがあったり、免疫チェックポイント阻害薬の開発競争は他の抗がん剤との併用療法にシフトしている状況の中、どんな動きがあるのか、気になるところです。

アストラゼネカ、ステージ IV肺がんを対象に進行中のMYSTIC試験について初期結果を報告(2017年7月28日)

アストラゼネカと米メルク、がん領域における戦略的提携を合意(2017年7月31日)

answers.ten-navi.com

 

Wave2

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Wave2のパイプラインはいろいろありますが、mGlur5 NAM(神経系疾患)OX1受容体拮抗薬(依存症)の進捗が進んでいる感じでしょうか。

mGlur5 NAM(神経系疾患)

詳細はよく分かっていませんが、過去にツイートしたメモを掲載。

 

OX1受容体拮抗薬(依存症)

こちらもよく分かっていませんが、進捗は順調そう。

 

他にもいろいろ進捗のアップデートが待たれるところですが、上記に挙げたパイプラインの中から第2四半期(7〜9月)中にマイルストン受領の報告が欲しいものです。願わくば、最低12億円以上の!

 

そーせいCVC

また、Wave1、Wave2とは別件だけど、そーせいCVC / Pluristemにそろそろ動きがあってもいいんですけどねぇ…。第2四半期中には出る気がする(希望的観測)。

barista-stock.hatenablog.com

 

Pluristemはイスラエル政府のバックアップを得て、中国市場に攻め込んでいく模様(2017年8月9日のリリース)。日本も、そろそろね。

Israeli Government to Support Pluristem’s Marketing Activity in China – Ministry of Economy Awards Company “Smart Money” Grant Nasdaq:PSTI

 

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メタップス(6172) - 5枚の決算説明資料から読み解く"今"と"未来"

2017年7月14日(金)に第3四半期の決算発表を終え、本日18日(火)に決算説明資料(PDF)がリリースされました。決算内容自体はある程度理解できていたのですが、気になることがあったので、さっそく資料を確認してみました。

タップス(6172)のこれまでとこれからについて理解する上で重要となるスライドを、ここに5枚ピックアップしてみました。簡単にではありますが、僕なりに整理します。

 

これまでのおさらい

まずは、2017年8月期における事業・サービス拡充の実績から。
ファイナンス関連サービス、つまりFinTech分野にフォーカスして開発や事業提携を進めてきました。

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業績の推移

売上、及び売上総利益は順調に伸びてきています。第3四半期までの進捗を見ると、通期売上予想に対する達成率は56%であるものの、韓国子会社Smartcon社の売上計上について、会計処理方針の変更の影響を受け増額が予定されているとのこと。これで通期売上も達成できそうですね。
これに関してはIRの方に確認しましたが、これまではリスクを見込んで売上が少ない方で計上していたそうです。

※参照:当社連結子会社による株式取得に関するお知らせ(2016年10月25日)

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タップスのこれから

タップスは中期経営方針として「データを軸とした経済圏の構築(データのミクス構想)」を掲げています。つまり、【データ+AI】を軸にして、マーケティング(データ解析・広告)」、「ファイナンス(決済・金融)」、「コンシューマ(コマース・メディア)」の3分野で経済圏を構築していくことを、成長戦略として描いています。

下図は、2020年までの重点投資ロードマップ。2011年から順にマーケティングファイナンスとフォーカスポイントを移しながらメタップスの考える経済圏を構築してきて、2018年からは「コンシューマ」領域への投資が始まります。"仕込みが完了"とは心強い言葉ですね。これまでのノウハウを活用してシナジーを生み出しながら、コンシューマ領域の事業を立ち上げ、育てていくことになるとのこと。

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今後の重点投資の第一歩:Timebank

今回の決算説明資料の発表と同時に、コンシューマ領域での新規事業のリリースもありました。それが「時間の再発明」に取り組むTimebankツイッター界隈ではすでに情報が飛び回って盛り上がりを見せていますね。

www.metaps.com

 

このサービス、簡単に言ってしまえば「専門家の空いている"時間"をリアルタイムに売買できる時間取引所」

① BtoCにおいてより個人が活躍しやすいマーケットを作ったクラウドワークスの要素と、② メルカリminne(ミンネ)BASE(ベイス)のような個々人で売買が簡単にできるCtoCプラットフォームの要素、さらには、③ 最近話題になった、ビットコインで個人の価値を売買する、株式市場のようなプラットフォームを作ったVALUの要素が複合的に混じり合い、「時間」を基軸通貨とした経済空間を作り上げようとしています。

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ここに、これまで培ってきたマーケティング事業とファイナンス事業の知見をつぎ込んでくるということですよね。どのような「金のなる木」になっていくのか、とても楽しみです。その他関連情報は下記ツイートにもありますので、興味のある方はご覧ください。

 

下記書籍は、代表の佐藤さんの凄さ、魅力に触れるのにオススメです。

 

ちなみに、チャートは大きく下げてからヨコヨコが長く続いてきていたのできれいな状態。ただし、いったん動き出すと癖が強くて動きも荒いので、これからINされる方はお気をつけください。

https://chart.yahoo.co.jp/?code=6172.T&tm=1y&type=c&log=off&size=m&over=m65,m130,s&add=v&comp=