ばりすたの株式備忘録

ばりすたの株式備忘録

株の世界で5年後も生き残っていたい…

ケモカイン受容体

免疫細胞の遊走、活性化および生存を制御することで、免疫防御の多様な働きを担っている"ケモカイン受容体"

そーせいのIRで知るまでは見たことも聞いたこともありませんでした。

今回は「ケモカイン受容体って一体何?」という疑問からいろいろ調べたことをまとめておきます。

なお、まだ基本的なことすら押さえきれていない可能性は大なので、その点は割り引いた上で読んでくださいね。

ケモカインって何?

まずは、ケモカインについて。

ケモカイン (Chemokine) は、Gタンパク質共役受容体を介してその作用を発現する塩基性タンパク質であり、サイトカイン(※)の一群である。白血球などの遊走を引き起こし炎症の形成に関与する。走化性(chemotactic)のサイトカイン(cytokine)を意味する。

ケモカイン - Wikipedia

サイトカイン(cytokine) とは、免疫システムの細胞から分泌されるタンパク質で、標的細胞は特定されない情報伝達をするものをいう。多くの種類があるが特に免疫、炎症に関係したものが多い。また細胞の増殖、分化、細胞死、あるいは創傷治癒などに関係するものがある。

ちなみに、Gタンパク質共役受容体については下記記事をご参照あれ。

barista-stock.hatenablog.com

このケモカインは、構造上の違いから「CCケモカイン」、「CXCケモカイン」、「Cケモカイン」及び「CX3Cケモカイン」に分類されていて、50種類以上のケモカインが同定されているそうです。なお、これらは「CCL1」「CXC1」などと表記されるのですが、"L"はリガンド(Ligand)であることを表しています。

kusuri-yakugaku.com

 

ということは、そのリガンドを受け取るタンパク質「受容体( レセプター / Receptor )」も存在するわけで、それがケモカイン受容体となります。

kusuri-yakugaku.com 

ケモカイン受容体とは

ケモカイン受容体はいずれもGタンパク質共役受容体であり、現在までに下図のケモカイン受容体が同定されています(もちろん「CCR」の"R"はReceptorを意)。

なお、下記CCR9 (※)はHeptaresが構造を解明したと発表したケモカイン受容体で、腸への白血球の動員に中心的な役割を果たしており、Heptaresが注目している領域である炎症性腸疾患の治療ターゲットとなるようです。

f:id:barista_stock:20170608200709p:plain

これらケモカイン受容体の多くは複数のケモカインと結合可能です。言い方を変えると、ケモカインの多くが、結合する受容体は単一ではなく複数の受容体と結合可能だということです。

例)CCL2(MCP-1) → CCR2、CCR4、CCR11

   ※MCP-1:単球走化性因子、つまり単球(マクロファージ)を遊走させるタンパク質/ケモカイン

 

それに加え、そーせいのIRにも記載があったように、ケモカイン受容体の作用機序は複雑で、構造情報が不足していることも相まって、開発候補化合物を最適化することができず、ケモカイン受容体をターゲットとした創薬の成功確率が低くなっているということなのですね。

ちなみに、掲載されたNature誌(オンライン)の日本語ページは以下。

www.natureasia.com

今回同定された細胞質側表面に位置する低分子アロステリック(※)ポケットは、CCR阻害剤開発の新たな手がかりとなると考えられます。長期的な時間軸にはなるけど、このケモカイン受容体をターゲットとした抗炎症剤・免疫制御剤関連の研究・開発が続々と始まっていくんだなぁと改めて実感した次第(もちろん、競合となる大手製薬会社も取り組んでいますけどね)。

"アロステリック"とは活性部位とは別の部位にエフェクター酵素の活動を促進または阻害する物質)が結合することにより酵素活性が変化することについていう。

参照:アロステリック効果 - Wikipedia

 

ちなみに、ケモカインにおける日本のパイオニア的存在は、東京大学大学院医学系研究科・医学部分子予防医学教授の松島綱治氏(Wikipedia)で、1980年代、アメリカのNIH( National Cancer Institute )に主任研究員として在籍中、ケモカインのプロトタイプ、interleukin-8(CXCL8)とMCAF/MCP-1(CCL2)を発見しています。

また、2010年ごろと少し古いですが、文部科学省のターゲットタンパク研究プログラムに松島氏のケモカインネットワークの研究が選定され、その研究成果がオープンになっていたのでご参照あれ。
「ケモカイン-ケモカイン受容体-シグナル制御分子フロントファミリーの構造・機能ネットワーク解析からの免疫システムの解明および創薬開発」

f:id:barista_stock:20170609133007p:plain