ばりすたの株式備忘録

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株の世界で5年後も生き残っていたい…

iPS細胞を使って明るい"再生医療のミライ"をつくる企業たち

多能性幹細胞関連の独自技術を用いて、新しい細胞応用製品の開発を行っている「株式会社 幹細胞&デバイス研究所(SCAD)」が以下のようなリリースを出しました。

  • シリーズ B 第三者割当増資の完了についてPDF

iPS 細胞由来の細胞組織片を開発、製造販売する株式会社幹細胞&デバイス研究所(Stem Cell & Device Laboratory, Inc. 以下「SCAD」)(本社:京都市下京区代表取締役:加藤謙介)は、本年 9 月 29 日までに、下記のベンチャーキャピタルと金融機関を引受先とする総額約 5 億 1 千万円の第三者割当増資を実施致しました。

 

【第三者割当引受先と出資額】
京都大学イノベーションキャピタル株式会社(約 1 億 6 千万円)
SMBC ベンチャーキャピタル株式会社(約 3 千万円)
・ニッセイ・キャピタル株式会社(約 1 億 6 千万円)
そーせいコーポレートベンチャーキャピタル株式会社(約 1 億円)
・三菱 UFJ キャピタル株式会社(約 3 千万円)
・京銀リース・キャピタル株式会社(約 3 千万円)

 

今回の資金調達により、細胞製品の更なる高機能化、品質安定化、量産化への取り組みを加速させて参ります。

このシリーズBの増資を完了したSCAD社の役員を見ると、京都大学名誉教授の中辻憲夫氏が取締役・最高顧問として名を連ねていました。

中辻氏は、その名前を知らない再生医療関係者はいないだろうと言われるほどの、幹細胞研究では世界的に著名な方。iPS細胞はもちろん、iPS出現以前に幹細胞研究の主流だったES細胞研究でもトップランナーの方です。また、リプロセル(4978)の創業科学者の一人でもあります。

胚性幹細胞(ES細胞)をはじめ、精子形成細胞や胎児期生殖細胞など、様々な細胞の発生分化制御機構の研究における権威である。
厳しい倫理規制の下、日本で最初に受精した胚からヒトES細胞の株の作成方法を樹立するとともに、ヒトES細胞株の分配体制も確立するなど、日本の再生医学分野の発展において、その功績は計り知れない。

中辻憲夫 - Wikipediaより

twitter.com

そんな中辻氏が取締役・最高顧問として関わるSCAD社について、どのようなビジネスをしているのかを見てみます。

 

iPS細胞を使った創薬支援事業を手がけるSCAD社

2014年に設立されたSCAD社が手がけているのは、いわゆる"再生医療"そのものではなく、新薬開発で使うテスト試料として心筋細胞を製薬会社などに販売するという事業。下記記事から抜粋した一文が、より詳しく説明しています。

幹細胞研究の第一人者として知られる中辻らは、より成人の心臓に近い組織を低コストでムラなく作製する独自技術を確立。「いずれ世界中のすべての新薬はiPS細胞から作る心筋細胞でテストするようになるだろう」と話す。
新薬テスト向けヒト細胞の世界市場は、数年以内に1,000億円を超えると見込まれている。このうち約半分が心筋細胞だ。
(中略)
「実用化のために必要なものは何なのか。産業としてのニーズはどこにあるのか。そうした戦略がなければ、iPS細胞で世界をリードすることはできない」。中辻は常に先を見据えているのである。

www.sankei.com

他の企業も、いくつか見てみましょう。

 

創薬支援の拡大を狙う富士フイルム

iPS細胞の医療応用、再生治療研究で一番気になるのは、山中伸弥教授率いる京都大学iPS細胞研究所(CiRA)武田薬品とがタッグを組んで誕生したT-CiRA

しかし、SCAD社のビジネスモデルに近い企業としては、iPS細胞を開発・製造するセルラーダイナミクス・インターナショナル(CDI)を買収して、iPS細胞を使った創薬支援の強化・拡大を考えている富士フイルムが挙げられます。

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toyokeizai.net

※下記サイトは、富士フイルムの考える再生医療について、とても分かりやすくまとめられています
富士フイルムは再生医療を加速させる

 

"再生治療のミライをつくる"そーせいCVCとは?

今回取り上げたSCAD社に出資したうちの1社 そーせいCVCとは、日本国内における再生医療研究開発を行うライフサイエンスに特化したバイオベンチャー企業再生医療技術の発展・事業化を支援する再生医療ファンド」を運用する目的で設立されたコーポレートベンチャーキャピタル(そーせいの連結子会社)です。

以前、そーせいCVCについての記事を書いてから半年近く経ちますが、今回の件まで特に音沙汰がありませんでした。

barista-stock.hatenablog.com

そのPluristem社との契約締結もまだ完了はしておらず、Pluristem社の9月のリリースでは、少し遅れている様子。

COMPANY PRESENTATION September 2017|Pluristem(PDF)

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しかし、そーせいCVCがPluristem社と合弁会社を設立して、日本国内で治験を進めようとしている、重症虚血肢を対象とした「PLX-PAD」は、欧米での進捗は非常に良好なので、一日でも早い国内治験開始が望まれるところです。

Pluristem Receives Positive Feedback from FDA and EMA as Company Prepares for Phase III Trial of PLX-PAD to Support Recovery from Hip Fracture Nasdaq:PSTI

 

これらの案件のように、そーせいCVCが出資する案件は、すぐに芽が出るものではなく、次世代への種蒔きそのもの。細胞医薬品「PLX-PAD」だけでなく、SCAD社の創薬支援事業の拡大も、長い時間軸であることを念頭に置きつつ、大いに期待したいですね。