ばりすたの株式備忘録

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株の世界で5年後も生き残っていたい…

JMC(5704) - "入口と"出口"のデータを押さえて勝つビジネスモデル

もうかれこれ3ヶ月ほど握りしめてるJMC(5704)。2018年8月10日に第2四半期決算があり、好決算と通期の上方修正を発表しました。

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もともと7月末に上期の上方修正を出していたことから、この通期上方修正も想定内といえば想定内でしたが、業績の見通しが慎重なJMCなので、通期においても上方修正をきちんと出してくれたことにはホッと一安心。

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今回の決算内容はどうだったのか?、今後の見通しはどうなのか?などについて、僕なりの視点でまとめてみました。 

 

JMCのビジネスモデル

JMCはもともと3Dプリンター出力事業から始まった会社で、鋳造事業は途中から開始。そして上場後に、鋳造の前工程、後工程で品質を上げるために行っていたCTを使った工程が、それ単体でも引き合いがあることが分かり、鋳造事業から切り離して現在の3つ事業構成になった、というのが主な流れです。

ビジネスモデルとしては、各事業それぞれ独立しているものの、CT・3Dプリンター・鋳造と、それぞれが密接に関わり合うことで付加価値を上げていく、というものだと言えます。

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売上の割合としては鋳造事業が59%を占め(2018年12月期2Q累計)、売上規模が一番大きい事業になっているのですが、JMCのビジネスにおける肝は「データ」だと言えるでしょう。

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CTで3次元データを取得したり、3Dプリンターで3次元CADデータを作成したり、試作したり、あるいはCTで完成品を検査したりがあるので、より難易度の高い、精密な製作物の依頼が入ってくるようです(鋳造事業の売上アップ)。つまり、"入口"と"出口"を押さえることによってより品質を上げ、それによって付加価値を上げていく、そんなビジネスモデルになっています。

 

業績についての考察 

今上期、及び通期における上方修正があり、通期では3期ぶりの最高益更新となる、というリリースもあったので業績がいいのは当然なのですが、具体的にはどうなっているのか、3つの事業ごとにブレイクダウンして見ていきましょう。

3つの事業ごとの売上とセグメント利益は次のようになっています。

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CT事業

上期上方修正の理由は以下の通り。

検査・測定サービスの需要に波があるものの、産業用CTの新機種導入によるラインナップ増加等が受注獲得につながり、売上高及び利益が概ね業績見込みどおりに推移いたしました。

2017年4Qと2018年1Qの売上は「産業用CTの販売」というスポット的なもので、コンスタントに望めるものではありません。したがって、2Qの売上が大きく減少しているように見えるのは気にしなくていいでしょう。

むしろ、QonQで+36%になっている点が評価できるかと。修正理由に書かれているように、ラインナップ増加で受注増につながっている、ということですね。下記リリースからも分かるように、2017年10月に導入告知していたものが、2018年6月7日にサービス提供開始となったとのこと。 また、利益率も前期の水準まではいかないものの、回復傾向にあるのはいいですね。

 

3Dプリンター事業

上期上方修正の理由は以下の通り。

心臓カテーテルシミュレーター「HEARTROID(ハートロイド)」や医療案件の売上高が好調に推移し、売上高及び利益が業績見込みを上回りました。

5月に中国、香港での販売委託契約締結のリリースも出ていましたし、海外展開が進捗しているのはいい傾向。IRの方いわく、ハートロイドは海外での引き合いが多いらしいですよ。動物愛護の観点から、動物実験が禁止されてる地域が多いですからね。

下図は2018年2月時点のものですが、ここに中国・香港が加わり、さらには8月2日のリリース(「25ヵ国におけるHEARTROIDの販売強化について」)では、中東、アフリカ、中南米などの新興国を中心とした25カ国においても販売網を広げたとのことなので、今後の成長も楽しみです。

2017年12月期 決算説明会資料より

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ただ、2Qの売上、利益が前期、前々期に比べて減少している点は気になりました。コスト増に影響があるものとしては、フルカラー3Dプリンターの導入?という気もしますが…これは追ってIRの方に確認してみたいと思います。

追記(2018/08/13)

2Qの利益が4Q/1Qに比べて大きく減少している理由を、IRの方に確認してみました。すると、短信でも触れられているように、海外の展示会への出展やメディア露出など、プロモーションコストが多くかかったため、とのこと。
また、プロモーションコストばかりが先行して、売上の伸びにつながっていない理由としては、新規客獲得がメインのフェーズで導入の意思決定まで時間がかかっているから、らしいです。したがって、3Q以降、売上がどれぐらい伸びているのかは要チェックですね。

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ハートロイドのことになるけど、海外の展示会への出展は以下のようなものです。参考までに。

 

鋳造事業

上期上方修正の理由は以下の通り。

2018年1月に稼働開始いたしました新鋳造工場が順調に立ち上り自動車のEV化による新規部品開発や、重要保安部品の試作案件増加等により、売上高及び利益が業績見込みを大幅に上回りました。

これは、上のグラフを見てもらっても、超絶好調であることが一目瞭然!ですね。2017年3Qは外注費が増加傾向にあったり、製造不具合の発生による再作によって利益率が低下している状況でしたが、それに対して生産管理を強化することで改善しつつ、EV化への対応(遅れの挽回)、あるいは新工場の立ち上がりによってキャパ増などによって、業績を大幅に伸ばしている事業になります。

 

今後の業績見通し

今期については、営業利益、経常利益を2.1倍情報修正して、EPSも2倍になっているので業績好調ではあるのですが、上期と下期の数字を比較して、売上と利益が鈍化している点(下図参照)が気になる人もいると思うので、その点について触れてみます。

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まず、以下のツイートが状況を一番ストレートに表しているのかなと思っています。もともと業績の見通しが慎重な会社なので、上方修正の数値も控えめな予測値になっています(IRにも確認済み)。 また、コストに関しては、7月にリリースがあったように、鋳造事業における生産設備を増強していて、その分の減価償却費は3Q以降に乗ってくるので、そのコスト増のインパクトは大きいですね。 

上記リリース内に記載がありますが、2018年11月に同1ラインの増設が予定されています。これによって、さらに生産能力は増加するものの、上記同様、費用計上が先立って行われることになるので、利益の伸びが鈍化しているように見えてしまいますね。

また、8月10日にリリースされた上方修正を見ると、下記のように、上記以外にも販管費が増加する見込みであることが記述されています。

なお、第3四半期及び第4四半期は、医療機器の製造・販売ビジネスの準備及びCT事業部門の設備増強のための本社オフィス増床、マーケティング強化、人員採用等の翌事業年度(2019年12月期)に向けた先行投資を実施する予定であり、販売費及び一般管理費が増加する見込みであります。

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ただ、コスト負担は増えるものの、単純に先行投資として考えられるものであり、上期の上方修正理由を見ても分かるように、各事業、ともに一時的なものではなく、下期も当然継続される可能性は高いと考えられます。また、鋳造事業の生産設備増強は3Qからですし、下記のような追い風となるニュースも見かけるので、売上はまた上振れる可能性は大きいであろうと想定しています。

結論、成長の鈍化だとは考えられないので、気にする必要なし!です。

 

最後に、個人的に一番注目している医療機器関連のビジネスについて触れて終わりたいと思います。

高度医療機器販売業・貸与業と今後の展開

下図は2018年2月時点のものですが、JMCは2017年3Q期間に「高度医療機器販売業・貸与業」の許可を取得したことにより、販路開拓のため販売代理店契約を進めてきていました。ただし、この「高度医療機器」というのは人体に使うものは含まれないため、扱える商材にかなりの制約がありました。

2017年12月期 決算説明会資料より

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しかし、先日リリースがあったように、次のステップ「医療機器製造業」の登録が完了したことで、医療機器メーカー等から医療機器の設計・製造の受託が可能になり、事業の幅が広がることに。これまで、CT・3Dプリンター・鋳造事業で蓄積してきたノウハウが十分発揮できるものだと期待しています。

また、上記の図や「業績予想の修正」 にも記載がありますが、今はさらに次のステップである「医療機器製造販売業」の取得に向けて動いている様子(「医療機器の製造・販売ビジネスの準備」との記載あり)。

具体的な動きはどんなものなのか、IRの方に聞いてみたところ、主には以下の3点における対応が必要とのことでした。

  • 専任管理者(品質、安全、総括)の採用 (※経験、年数などの条件あり)
  • 専用設備の整備
  • 社内ルールの整備

「医療機器製造業」は登録が完了するまでに半年以上かかったとのことなので、それまでは費用先行になる見通し。次の成長への投資として見守っていきたいと思います。

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