ばりすたの株式備忘録

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株の世界で5年後も生き残っていたい…

片頭痛を取り巻く市場環境(CGRP治療薬)

片頭痛の治療薬について、以前調べたときから2年以上も経っていたので、各治療薬(臨床試験中のものも含む)のその後の進捗状況を改めてまとめてみたいと思います。

まずは、以前の記事で片頭痛を取り巻く市場やCGRPについて書いているので、そちらもご参照いただきたいのですが、その記事以後の2018年に大きな動きがあったようなので、今回はそれを整理します。

barista-stock.hatenablog.com

 

 

CGRP抗体医薬

上記の記事を書いた当時はまだ臨床試験中だった3つのCGRP抗体医薬は、米FDAの承認を受けてすでに発売開始されていました。

片頭痛薬市場は今、変化の真っ只中にある。高い関心が寄せられている予防薬の分野では今年、3種類の抗CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)抗体―「Aimovig」「Ajovy」「Emgality」―が米国で発売された。欧州でも間もなく発売となる見通しだ。
さらに2020年までには、4種類目となる生物学的製剤(eptinezumab)がAlderから発売される予定で、2022年にはアラガンから経口薬(atogepant)が発売されるとみられている。
-AnswersNewsより-

answers.ten-navi.com

 

片頭痛を抑制する予防薬開発で、CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)やその受容体に対するモノクローナル抗体を用いることで予防効果が得られることが実証されつつある。エレヌマブ(米アムジェン)やガルカネズマブ(米イーライリリー)など次世代予防薬の臨床試験が進んでおり、片頭痛は標的分子を明確にした予防療法に焦点が移りつつある。
-日刊薬業より-

nk.jiho.jp

 

まずは、この3つの抗CGRP抗体、アラガン社のAimovig(エレヌマブ)、テバ社(日本国内は大塚製薬)のAjovy(フレマネズマブ)、そしてイーライリリー社のEmgality(ガルカネズマブ)の概要を整理。

Aimovig (erenumab)

米FDA アムジェンのAimovigを承認 片頭痛予防薬で初

アムジェン社の成人における片頭痛予防薬(月1回投与で自己注射)で、これまで確立された治療薬がなかった片頭痛治療薬において、予防薬として初めて承認されました。なお、2018年5月末に、EMA(欧州医薬品庁)でも承認された模様。

EMA 片頭痛予防薬Aimovigなど4品目を承認勧告 | ニュース | ミクスOnline

 

また、2019年5月上旬に開催されたANN (American Academy of Neurology) のアニュアルミーティング2019において、安全性、及び有効性が強調する発表もあったようです。

Novartis to highlight extensive long-term safety and efficacy data of Aimovig® across the spectrum of migraine at AAN | Novartis

 

Ajovy (fremanezumab)

<米国>後発薬のテバが大幅高 片頭痛治療薬で米当局から認可

EMA NSCLC治療薬Vizimproなど2品目を承認勧告 | ニュース | ミクスOnline

次に承認されたのがテバ社(日本国内は大塚製薬)の片頭痛予防薬。FDAからは2018年9月、EMAからは2019年1月に承認されたようです。

 

Emgality (galcanezumab)

Emgality、成人の片頭痛予防治療の適応でFDAの承認取得-米リリー

イーライリリー、成人の片頭痛の予防治療を適応とする Emgality™(galcanezumab-gnlm)に対する米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得

イーライリリー社の片頭痛予防薬も、テバ社に続き、2019年9月にFDAの承認取得。EMAからの承認も、おそらく得ていると思われます。

European Commission approves Lilly's Emgality for migraine - PharmaTimes

 (EMAのホームページでも"AUTHORIZED"となっているので間違いないかと)

 

以上、この3つの新薬が承認され、それぞれ非常にポジティブに捉えられて上々のスタートを切ったようですが、現時点ではかなり熾烈な競争が繰り広げられているように思われます。

下記記事によると、アメリカの最新処方データでは、イーライリリーのEmgality(37.7%)が、アムジェンのAimovig(37.2%)を初めて上回り、最も高いシェアを占めたようです。なお、テバのAjovyのシェアは25.1%。トップ争いはほぼ横並び一線ではあるものの、後発のEmgalityが一歩リードの状態。

www.fiercepharma.com

www.reuters.com

 

また、欧州でも承認・発売はされていますが、イギリスでは「英国立医療技術評価機構(NICE)は、AimovigについてNHS(国民保健サービス)における使用を推奨しないとする内容のガイダンス案を発表した」とのこと。理由は費用対効果によるもの。一方、スコットランドのNHSでは承認されたようで、見解にはばらつきがあるようですね。

www.mixonline.jp

www.bbc.com

 

これまでは予防薬が存在しなかったので、効果の面で支持を得てはいるものの、やはり日本でも話題に上がっているように、抗体医薬であるため、高額医療費がボトルネックになっているようですね。

それを解決するのが低分子医薬品になるはずで、以下では、低分子CGRP拮抗薬について整理したいと思います。

 

低分子CGRP拮抗薬

臨床試験が先行している候補薬が3つありましたが、一番先行していたアラガン社のUbrogepant (MK-1602) は、最初の経口CGRP受容体拮抗薬として、2019年3月、FDAに承認申請が受理されたようです。

Allergan Announces FDA Acceptance of New Drug Application for Ubrogepant for the Acute Treatment of Migraine - Allergan

Allergan Announces FDA Acceptance of New Drug Application for Ubrogepant for the Acute Treatment of Migraine

 

また、それを追随する候補薬、バイオヘブン社のRimegepant / BHV-3500は、ともにBristol-Myers Squibb(BMS)社からのライセンス品で、急性治療薬と予防薬とで現在臨床治験中。
※当初の記事に記載していたイーライリリー社のLasmiditan (LY573144) はCGRP拮抗薬ではなく、5-HT1F作動薬だったのでこの記事からは削除しました

  • Rimegepant(BHV-3000)

clinicaltrials.gov

clinicaltrials.gov

  • BHV-3500

clinicaltrials.gov

 

〜その他の参考情報〜

www.biohavenpharma.com

www.biohavenpharma.com

www.neurologylive.com

 

そーせい社のパイプライン

そーせいも、低分子CGRP拮抗薬を自社開発パイプラインにラインナップしており、ホームページに記載されているパイプライン表には以下のように書かれています。

HTL0022562は片頭痛やその他の重度の頭痛を治療するための新規の低分子薬で、強力かつ高度な選択性を有するカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGPR)受容体拮抗薬です。

一応、自社開発パイプラインの中では、次に臨床試験入りになる候補なんですが、まだ動きは見られませんね…

第29回定時株主総会資料より(2019年3月27日)

f:id:barista_stock:20190526141247p:plain


なお、このパイプラインは、以前一度テバ社に導出したものですが、先方の都合もあり、2018年3月に開発・販売の権利の返還を受けたものになります。低分子CGRP拮抗薬においても、かなり競合に遅れを取っているので悩ましいものですね。

2018.03.13
片頭痛、その他重度の頭痛に対する治療薬である新規低分子CGRP拮抗薬のグローバルにおける開発・販売の権利をTeva社が返還(pdf)

このリリースでMalcolm Weir氏は「HTL0022562 は、他の低分子抗体拮抗薬と比較しても非常に興味深く、差別化された特性をもち、その開発を継続するのを楽しみにしています」とコメントしていたので、先行薬といかに差別化できるか(低価格帯のもの、かつ、効果を高めた上で副作用をいかに抑えられるか)、少しだけ期待して続報を待ちたいと思います。